Duolingoに見る「学習継続の仕組み」

Duolingoは、世界中で最も利用されている語学学習アプリのひとつです。知り合いの方に薦められて家族で使い始めてから4ヶ月ほどになりました。学習が継続しやすくなる工夫が随所に見られ、教育的にも興味深いものでした。今回はその体験と分析をお届けします。
学習状況のビフォーアフター
ユーザー | 連続日数 | 学習開始時 | 現在の様子 |
---|---|---|---|
私 | 115 | TOEIC730程度、簡単な会話ができる | 変化はあまり感じられない |
妻 | 124 | 変な英単語をたまに発する | 発音が改善し、to不定詞も使えるようになった |
小5 | 125 | 学校の英語学習のみ | 安定して取り組んでいる |
小1 | 117 | 英語学習の経験なし | “My grandma is from Tokyo.”が読めて書けて発音もよい |
広告ありの無料版を使っていますが、4ヶ月近く家族全員が継続できているのは、なかなかすごいことだと感じています。以下に、教育心理学・行動科学の視点から見た学習継続の仕組みを紹介します。
1. マイクロラーニングの活用
- 特徴:1レッスン約5分と短時間で完了
- 教育的意義:
- 認知負荷を軽減し集中力を維持
- 「少しだけ」の気持ちで始められる
- 隙間時間を有効活用
2. ゲーミフィケーションによる動機付け
- 仕掛け:ストリーク、XP、リーグ、報酬バッジ
- 教育的意義:
- 即時フィードバックでやる気を引き出す
- 競争より「刺激」を意識させる設計
- 義務感より「やりたい」気持ちを生む
3. リマインダーと環境設計
- 機能:プッシュ通知、メールリマインド
- 教育的意義:
- 習慣化の「きっかけ」を提供
- トリガー → ルーチン → 報酬 の流れを促進
- 忘却防止のナッジとして機能
4. エラーに寛容な設計
- 特徴:スペルミスに寛容、やり直しが容易
- 教育的意義:
- 心理的安全性を確保
- ミスを許容することで内発的動機を保つ
- 成長マインドセットを育む
5. 可視化された学習履歴
- 例:進捗グラフ、単語の習得状況、週・月ごとの成果
- 教育的意義:
- 自己効力感を高める
- 少しずつの進歩を実感できる
- メタ認知を促進
6. フォロー関係による学習促進
- 例:他ユーザーの可視化、称賛、フレンズクエスト
- 教育的意義:
- 社会的動機づけ
- ピア効果(周囲の影響)
- 協同学習による支援と刺激
▼ 個人的な感想
- フォローし合うことで自然と続く知り合いが頑張っていると自分もやる気になる
- ゲーミフィケーションの力は大きい大人も子どもも「遊び感覚」で続けられる英語レベルの差があっても同じリーグ内でXPで競える
- アプリだけでの学習には限界がある年齢や理解力に応じた補助教材の併用が必要
- 遊び心にあふれたDuolingoのキャラクター設計も魅力のひとつ
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